第1回で城山公園の山頂に登って以来、現在の天守と本物の城跡の違い、里見氏、本城移転、城下町、改易、そして八犬伝まで、館山城の歴史をたどってきました。その歴史を頭に入れたうえで、今回は城山公園全体を、あらためてじっくり歩いてみます。
「うみこと歩く館山城」第7回は、城山公園のおすすめの歩き方。麓から山頂まで、うみことおじさんと一緒に登りながら、城跡としての見方、季節の花、博物館の楽しみ方を案内します。
うみこ
おじさん、麓の駐車場に着きました! ここから歩いて登るんですよね。歴史をたっぷり教わったあとだと、なんだかワクワクします。どう歩くのがおすすめですか?
タテヤマおじさん
よし、行くか。駐車場は園内に完備されてる。土日祝なら、ここ麓から山頂下まで無料のシャトルカーも出てるぞ。午前10時から午後3時までな。けど今日は歩いて登ろう。まずは、この坂を上がった中腹にある博物館本館からだ。
うみこ
(坂を上がって)……あっ、見えてきた! ここが博物館本館ですね。連載の途中で何度も出てきた…! 山頂のお城とは、別の建物なんですね。
タテヤマおじさん
そうだ。ここが中腹の本館。昭和58年、1983年に開館した建物でな、歴史展示室では安房の歴史と里見氏の興亡を、実物の資料でたどれる。山頂へ登る前に、ここで「予習」していこう。順番が大事なんだ。
うみこ
(展示を見終えて)里見氏の流れ、バッチリ予習できました! 第2回から教わった話が、実物で見られると迫力が違いますね。さあ、いよいよ山頂へ登りましょう!
タテヤマおじさん
その意気だ。本館からもうひと登りだぞ。…ほら、木々の間から見えてきただろ。あの白い三層四階の天守が、第1回でうみこが登った山頂の館山城——八犬伝博物館だ。あと少し、登るぞ。
うみこ
(山頂に着いて)はぁ、はぁ…登りきった! わあ……すごい眺め! 海がぜんぶ見える…! さっき下にいた駐車場も、街も、ぜんぶ足元です!
タテヤマおじさん
これが山頂からの眺めだ。あの海が鏡ヶ浦——館山湾だな。標高65メートルほどの頂上から、湾と館山の市街地がぐるりと一望できる。天守の中では八犬伝の版本や錦絵も見られるが、まずはこの景色を見てほしかったんだ。
うみこ
あっ、第3回の「なぜ館山だったの?」が、ここで効いてくる…! 義康が見たのも、まさにこの景色だったんですね。
タテヤマおじさん
その通りだ。この眺めこそ、義康がここを選んだ理由そのものだよ。そして、だ。今うみこが立っているこの山頂が、本物の城の中心だったんだ。御殿跡や鹿島堀跡も確認されている。第1回で話したとおり、戦争中に山頂が削られて派手な遺構は少ないが、この足元の地形そのものが城の名残なんだよ。
うみこ
こうして実際に立つと、「ここにお城があった」って実感できます…! 景色がただの景色じゃなくなりますね。ところでおじさん、この公園、ほかにも見どころがあるんですか?
タテヤマおじさん
あるとも。ほら、この山頂のすぐそばを見てごらん。白砂利の枯山水の日本庭園と、茶室「雁月庵」があるだろ。少し歩けば、万葉集に詠まれた植物を約100種集めた「万葉の径」や、現代彫刻が並ぶ「彫刻の径」もある。山頂の眺めを楽しんだら、こうしてのんびり歩くのもいいんだ。
うみこ
(庭園を歩きながら)静かで素敵…! さっきまでの大きな眺めとは、また違う落ち着きがありますね。季節のお花もきれいって聞きました。
タテヤマおじさん
そうだ。帰りは径を下りながら花を見ていこう。つばきの径は約900本の椿で、12月下旬から4月下旬。梅園は約150本で1月下旬から3月上旬。つつじ園にいたっては、約6000本のツツジが4月上旬から5月上旬に咲く。もちろん桜もある。冬から春にかけては、館山きっての花の名所なんだよ。
うみこ
6000本のツツジ!? すごい…! 登りは歴史、下りはお花。一度で何度もおいしいですね!
タテヤマおじさん
そういうことだ。初めて来る人は、麓から本館で予習して、山頂で眺めを楽しむ。地元の人は、花の季節に散歩がてら登る。歴史も、自然も、アートも、ぜんぶこの一つの山で歩ける。どっちの楽しみ方もできるのが城山公園のいいところだ。さて、次回はいよいよ最終回。ここまで歩いてきた全部をつなげて、締めくくるとしよう。
📜 歩き方メモ:城山公園のまわり方
おすすめは「麓の駐車場 → 中腹の博物館本館(里見氏の歴史を予習)→ 山頂の八犬伝博物館・展望(館山湾と市街地の眺め=義康が選んだ景色)→ 山頂付近の日本庭園・茶室『雁月庵』→ 径を下りながら花」の順。城跡としては、山頂が城の中心で、御殿跡・鹿島堀跡が確認されています(戦争中に山頂が削られ遺構は限定的)。園内には万葉集の植物約100種の「万葉の径」、現代彫刻の「彫刻の径」もあります。花は、つばきの径(約900本/12月下旬〜4月下旬)、梅園(約150本/1月下旬〜3月上旬)、つつじ園(約6000本/4月上旬〜5月上旬)、桜と続きます。
城山公園は、歴史の現場であり、花の名所であり、眺めのいい展望地でもあります。麓から登り、山頂で館山湾を見渡し、庭園や花の径を下る——その一歩一歩に、第1回からたどってきた歴史が重なります。ただの景色が「義康が見た景色」に変わる瞬間を、ぜひ自分の足で確かめてみてください。次回は最終回、館山城の意味をまるごと振り返ります。
今回わかったこと
- おすすめ順路は「麓の駐車場 → 中腹の博物館本館(予習)→ 山頂の八犬伝博物館・展望」
- 山頂からの館山湾・市街地の眺めは、義康が館山を選んだ理由そのもの。城跡としては山頂が城の中心
- 山頂付近の日本庭園・茶室「雁月庵」、万葉の径(約100種)、彫刻の径もあり、歴史・自然・アートを一度に歩ける
- 下りの径は花の名所(椿・梅・つつじ・桜)。観光客にも地元の人にも向く
城山公園・館山城 メモ
所在地:千葉県館山市館山351-2(城山公園内)
博物館開館時間:午前9時〜午後4時45分(入館は午後4時30分まで)
休館日:毎週月曜(祝日・振替休日の場合は開館し翌日休館)、年末年始
駐車場:園内に完備。土日祝は麓から山頂下まで無料シャトルカー運行(午前10時〜午後3時)
花の見頃:椿(12月下旬〜4月下旬)/梅(1月下旬〜3月上旬)/つつじ(4月上旬〜5月上旬)/桜
公式:館山城・城山公園
📚 連載「うみこと歩く館山城」の全体像・各回の目次は、まとめ記事「館山城の歴史まとめ|里見氏最後の居城と八犬伝の舞台を歩く」からどうぞ。
次回「うみこと歩く館山城⑧」は、ついに最終回。城・海・町・物語——ここまで歩いてきたすべてをつなげて、「館山城とは何だったのか」を振り返ります。お楽しみに!