知ってるか? 館山市安東の須藤牧場で、おもしれー話があってよ。6月10日の朝、放牧場の草っぱらに、キノコがきれいに輪っかになって生えてたっていうんだ。直径はおよそ5メートル。見つけた須藤裕紀さん(61)も、最初は「ミステリーサークルか」と目を疑ったらしい。
面白いのは、前の日の6月9日に草刈りをしたときには影も形もなかったってことだ。それが一晩で、ぐるりと円を描いて出てきた。畑仕事をする人間からすりゃ、ちょっと薄気味悪いわな。
だがな、これにはちゃんとした名前がある。「フェアリーリング(妖精の輪)」、日本語じゃ「菌輪(きんりん)」って呼ぶ自然現象だよ。地中でキノコの菌糸が、一点から放射状に均等に広がっていく。すると、その外周のところだけ地上にキノコが顔を出すんだ。だから中心は空っぽで、周縁だけが輪になる。タネも仕掛けもねえ、地面の下の話さ。
西洋じゃ、この輪を「妖精たちが夜通し踊った跡」なんて言い伝えてきた。草刈りの翌朝にいきなり現れたんだから、昔の人が妖精のしわざと考えたのも、わからんでもねえ。
須藤牧場は安東で長く続く酪農家でな、今も牛と向き合いながら、ジャージー牛のソフトクリームや生シェイクを直営店で出している。放牧場は牛のための場所だが、こういう小さな自然の不思議が転がっているのが、牧場って土地のいいところだな。
須藤牧場のソフトクリームや生乳は、道の駅グリーンファーム館山内の直営店(館山市稲274・駐車場あり)などで味わえる。放牧場そのものは見学施設ではないので、牧場の味を楽しむならこちらへどうぞ。